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蔵内オスカー

  • Author:蔵内オスカー
  • ジゴワットとはギガワット(gigawatt)のことである。
    戸田奈津子の誤訳説が有名だけれど、実際は脚本家ボブ・ゲイルのミス。gigaの発音にはギガとジゴがあるのだが、ジゴの方を耳にしたゲイルが何も疑わず“jigowatt”と書いてしまった。DVDのコメンタリーでカミングアウト。

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1.21ジゴワット
それは未来を変えるパワー。 映画批評 and ザ・ニュース。
28週後...
怒ってるヒゲオヤジじゃないよ
シー・イズ・レジェンド

※ラストシーンに言及していますので未見の方はご注意ください。

子供の軽率な行動を展開のきっかけとするストーリーほど、くだらないものはない。
この作品ではそれが全ての災厄を招いているのだからサイアクだ。
決まりを破ることを躊躇する弟を、“父さんが気付く前に戻れば大丈夫”とそそのかす姉。結果として問題なかったが、ウィルスにやられた死体のヘルメットを不用意に弟に被せる姉。
とにかく、年上である姉の考えが浅いのがイタい。

さらに、イギリス復興に介入する米軍のセキュリティの甘さが、くだらない展開に拍車をかける。それも、穴を突かれるのではなく、物語の展開上甘く設定してあることがわかってしまうのが問題だ。
子供は入国禁止だと言いながらなし崩しに許したり(入国禁止ならそもそも飛行機に乗る時点で引っ掛かってないことがおかしいのだが)、子供が立入禁止区域に入るのを見落としたり、解決への重要な鍵である抗体を持つ女性をベッドに縛り付けるだけで全く監視していなかったり(容態が悪化したらどうする)、部外者の入室を簡単に許したり、挙げていけばきりがない。

そしてさらなる難点は、人間同士のドラマが描かれていないことだ。
妻を置き去りにして罪悪感にさいなまれる夫、父親に不信感を抱く子供達、そして生き延びていた妻という状況を設定しながらも、そこから先はただのサバイバル劇。意表を突く展開をすればいいってものではない。
米軍側の人間も同様だ。家族の写真を大事にしているヘリのパイロットはその設定が全く活かされないし、狙撃兵とのお戯れに割く時間があるなら、二人のキャラクターをもっと掘り下げられる。
人間が描けていないホラーなんて、ヒュー・グラントのいないラブコメのようなもの。

ラスト、遂には、弟の感染を知りながら脱出を図った姉のせいで、ウィルスは大陸に広がっていく。

最後まで、姉。

0.5点/5点満点

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28週後...
28 Weeks Later
07/英・スペイン
監督:ファン・カルロス・フレスナディージョ
脚本:ローワン・ジョフ、ファン・カルロス・フレスナディージョ、E.L.ラビニュ、ジーザス・オルモ
製作:エンリケ・ロペス・ラビニュ、アンドリュー・マクドナルド、アロン・ライヒ、バーナード・ベルー
製作総指揮:ダニー・ボイル、アレックス・ガーランド
音楽:ジョン・マーフィ
出演:ロバート・カーライル、ローズ・バーン、ジェレミー・レナー、ハロルド・ペリノー、キャサリン・マコーマック、マッキントッシュ・マグルトン、イモージェン・プーツ、イドリス・エルバ

テーマ:ホラー - ジャンル:映画

2007年総括
リメイク、続編、他メディアからのネタ拝借が多いのは相変わらずだが、それだけが悪いわけではない。
題材を生かすも殺すも作り手次第。
映画はまだまだ面白い、2007年総括。

黒いけどちゃんといるよ
第1位:ラストキング・オブ・スコットランド
史実とフィクションを融合させ、娯楽性高く仕上げた傑作。
ウィテカーの鬼気迫る演技は、軽く本人越え。

寝相悪いの
第2位:パフューム ある人殺しの物語
ケレン味たっぷりの語り口が最高。
ホラー映画お約束の演出を調合するなど、監督もわかっているクサい。

私、主役なのにちっちゃくない?
第3位:ヘアスプレー
白人と黒人、美人とぽっちゃり。対立の構図はミュージカルとの相性抜群。
ミュージカル映画のほぼ完成形。

いーち!にー!さーん!・・・
第4位:ロッキー・ザ・ファイナル
今だからこそ作られるべき続編。
スタローンの魂を継承せよ!

うわぁー!押すな押すな!
第5位:300<スリーハンドレッド>
ロドリゲスとはまた別の文法でフランク・ミラーの世界を映像化。
男祭りで裸祭り、女人禁制、死者五入。

片足マシンガンVS飛ばないアヒル
第6位:グラインドハウス U.S.A.バージョン
興奮度なら今年髄一。グラインドハウスならではのいい加減さを逆手に取った笑いもたまらない。
必ずU.S.A.バージョンを観るべし。

ヒュードリューヒュードリュー
第7位:ラブソングができるまで
80年代に青春時代を過ごした、音楽ファン向けのネタ満載。
ラブコメ好きも必見のキラーチューン。

顔恐いって!
第8位:サンシャイン2057
暴走「ゾンビ」の次は、人力「エイリアン」。
「28日後...」がその後のゾンビ映画の在り方を変えたように、この映画もまた、今後のSF映画に大きな影響を与えるだろう。

カメラ、傾いてるぞ!
第9位:キングダム 見えざる敵
社会派ドラマと娯楽アクションの絶妙ブレンド。
マイケル・マンフレーバーも加わって、ビターテイスト、エクストラホット。

背中、熱っ!
第10位:トランスフォーマー
少年と軍人、2人の主人公を軸にした構成をうまくまとめた。
リアルな映像でドタバタをやる、その方向性は正しくスピルバーグ印。


ベスト10に入ってもおかしくない。最後まで争ったのは次の5本。

しょぼ〜ん
次点:それでもボクはやってない
伊丹十三チックな、頑張ってリサーチしました感はあるが、痛烈な問題提起として意義のある作品。

あーそーぼ!
次点:モンスター・ハウス
アニメの皮をかぶった、紛れもないダークキャッスル映画。

焦点あってない?
次点:大日本人
松本人志が好きなら間違いない。計算し尽された無法地帯。

あなた下の二人を笑わないで
次点:ホリデイ
主演の4人のアンサンブルが素晴らしい。

魔王の迷宮と違うの?
次点:パンズ・ラビリンス
キレ者、デル・トロの魅力爆発。本当は残酷なジブリの森。


期待していただけに落胆もデカい、そんながっかりを2本。

摩天楼はセピア色に
がっかり1:アイ・アム・レジェンド
自ら振ったネタをシカトするという、前代未聞のどんでん返しでズッコケ度はMAXに。

ビヨンセはどれ?
がっかり2:ドリームガールズ
俳優達の好演も、演出力不足で夢芝居。ライブのシーンがいいのは当たり前。


そして今年もこの人だけは特別。

おい3番、ちゃんと立て
別次元:プロジェクトBB
期待を裏切らない香港ジャッキー。
マイケル・ホイ、ユン・ピョウとの絡みは涙物過ぎ。

テーマ:2007年度 ベストムービー - ジャンル:映画

アイ・アム・レジェンド
オリジナルのキャッチコピーは素晴らしい
そして伝説へ・・・(悪い意味で)

※ラストシーンに言及していますので未見の方はご注意ください。

人に散々期待させるようなことをしておいて、“なに勘違いしてんの?”的な態度を取る、そんな“思わせぶり女”のような映画の登場だ。

劇中での興味深いシークエンスは、ことごとく無視される。
シカトと言う名のどんでん返しだ。
その最たるものは、ダークシーカーの知性。
主人公のネビルを、自分達がやられたのと同じ方法で罠に掛けたり、余裕しゃくしゃくでいたぶるのに犬を使ったりと、意外に知能が高いという描写があるが、その場限りで終わってしまい、後の展開に繋がらない。また、そんな重大な事をネビルも全く追求しない。
ラスト近く、“おれが話をつけますよ”とばかりにしゃしゃり出てきたダークシーカーのボスが、ザコと同じようにガラスに体当たりを始めた時には、椅子からズリ落ちそうになった。

後半登場する少女との、コミュニティの存在を信じるか信じないかの論争も、これまた意味がない。挙げ句の果てに、何の理由もなくあっさり“ありました”では、死んだネビルも浮かばれない。伝説にもなりきれないよ。

他にも、それまで慎重にサバイブしてきたネビルが犬の死でヤケクソを起こしたり、都合よく通りがかりの子供に助けられたり(前振りひとつあれば済むものを・・・)と、おかしな展開が山のよう。
そもそも、軍隊の大佐であるネビルがヒーヒー言いながら生き延びているのに、子供二人が無事とはどういうことか。
ダークシーカーが襲って来た場面で意外な強さを発揮するのかと思いきや、ただ隠れるだけなのに加え、男の子の方はさらに足を引っ張るというていたらく。「エイリアン2」のニュートのように、子供が生き延びていたならそれなりに説得力のある描写が必要だ。

さらに、「28日後...」「ディセント」等の傑作低予算映画のエッセンスを頂戴しながら、料理し切れていない。そんな部分も恥ずかしい。

「地球最後の男」二度目のリメイクは、その是非を問う以前に、完全なる駄作である。
ウィル・スミスがいい演技をしているだけに残念だ。

1点/5点満点

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アイ・アム・レジェンド
I Am Legend
07/米
監督:フランシス・ローレンス
脚本:マーク・プロストビッチ、アキバ・ゴールズマン
原作:リチャード・マシスン
製作:アキバ・ゴールズマン、ジェイムズ・ラシター、デイビッド・ヘイマン、ニール・モリッツ
製作総指揮:マイケル・タドロス 、アーウィン・ストフ 、デイナ・ゴールドバーグ 、ブルース・バーマン
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演:ウィル・スミス、アリーシー・ブラガ、ダッシュ・ミホック、チャーリー・ターハーン、サリ・リチャードソン

テーマ:アイ・アム・レジェンド - ジャンル:映画

ヘアスプレー
スタイル抜群のおデブです
クリストファー・ウォーケンの透けるランニング

上映開始からの数カットを観ただけで“お気に入り”だと確信できる、そんな作品に稀にめぐり会う。
その映画の持つタイム感が、自分のそれとピッタリ合うのを感じるのである。

おデブな主人公トレイシーのサクセスストーリーの印象が強い本作だが、人種差別がもうひとつの大きなテーマとなっている。
シビアなテーマであるが、登場人物を記号的にディフォルメし、コメディとしてうまく成立させるともに、白人と黒人の間に「ウエストサイド物語」での対立する不良グループを彷彿とさせる構図を作り上げている。

トレイシーを太った女の子ならではのマイノリティーの立場がわかるキャラクターとして描き、ふたつのテーマをバラバラにではなくうまく絡めて描くところも、さりげないけど巧いのだ。

また、オリジナルのジョン・ウォーターズ版でディヴァインが、ブロードウェイ版ではハーヴェイ・ファイアスタインらが演じていた主人公の母親役をジョン・トラヴォルタに演じさせ(いずれも男優の女装)、オリジナルにきちんとオマージュを捧げる。そんな、ファンへの気配りも抜かりない。
それだけにとどまらず、クライマックスでトラヴォルタ乱舞!という、「パルプ・フィクション」よりも興奮モノの図式を完成させる見事なキャスティング!
個人的にはここが一番の感動ポイントだった。

オリジナルの映画がミュージカルではないことが信じられないくらいに、ジャンルとテーマが噛み合った大傑作。

4.5点/5点満点

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ヘアスプレー
Hairspray
07/米
監督:アダム・シャンクマン
脚本:レスリー・ディクソン
作曲:マーク・シェイマン
作詞:マーク・シェイマン、スコット・ウィットマン
製作:クレイグ・ゼイダン、ニール・メロン
製作総指揮:ジェニファー・ギブゴット、ギャレット・グラント、マーク・シェイマン、アダム・シャンクマン、スコット・ウィットマン
出演:ニッキー・ブロンスキー、ジョン・トラヴォルタ、ミシェル・ファイファー、クリストファー・ウォーケン、アマンダ・バインズ、ジェームズ・マースデン、クイーン・ラティファ、ブリタニー・スノウ、ザック・エフロン

テーマ:お気に入り映画 - ジャンル:映画

ゾディアック
泣き顔にも見える
みんな短髪短髪言うけど・・・

ゾディアック事件という未解決殺人事件を題材に、それに関わることで人生を狂わされていく男達の姿を描く。
ちょうど韓国映画の「殺人の追憶」と同じような構図である。
面白いのはデビッド・フィンチャーが「ブラック・ダリア」を蹴って本作を選んだという事実である。奇しくも、どちらも殺人事件を捜査するうちに取り憑かれていく人間が描かれているのだが、ゾディアック事件が幼少期のフィンチャーの身近で起こったという理由以外に、この事件がメディアを巧みに利用した初めての犯罪であることや、謎を追いかけ深みに嵌っていくのが事件捜査を本業としない漫画家であること、また、時代背景の興味深さなどを比べても、フィンチャーが「ゾディアック」に惹かれるのはすごく納得のいくことである。
いつもの映像的趣向は抑え、ドキュメンタリータッチに徹しているが、それでも画面の端々から感じられる強い作家性が、ファンにとっては面白い。

また、興味深いのが、ゾディアックをモデルにした殺人者スコルピオが登場する映画「ダーティハリー」が、ゾディアック事件真っ只中の71年に製作され公開されたということに、改めて気付かせてくれるところである。
法で裁けない犯人をバッジを捨てて射殺してしまうハリー・キャラハンというヒーロー像は、当時のアメリカ国民の感情を反映したものだろう。

劇中、リー・アレンという男が限りなく黒に近い容疑者として描写されるが、それでも逮捕できないという事実が、観ている我々にもグレイスミスと同じジレンマを抱かせる。
このあたりの構成も見事である。

3点/5点満点

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ゾディアック
Zodiac
07/米
監督:デビッド・フィンチャー
脚本:ジェイムズ・バンダービルド
原作:ロバート・グレイスミス
製作:マイク・メダボイ、アーノルド・W・メッサー、ブラッドリー・J・フィッシャー、シーアン・チャフィン、ジェイムズ・バンダービルド
製作総指揮:ルイス・フィリップス
音楽:デビッド・シャイア
出演:ジェイク・ギレンホール、マーク・ラファロ、アンソニー・エドワーズ、ロバート・ダウニーJr.、ブライアン・コックス、ジョン・キャロル・リンチ、クロエ・セヴィニー、イライアス・コティーズ

テーマ:★ゾディアック★ZODIAC★ - ジャンル:映画